花屋の仕事は多岐にわたります。
中でも花の仕入れと水揚げ作業は花屋の生命線の仕事とも言えます。
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たくさんある花々は素材も分類も異なりそれぞれの品種によって
この方法で水揚げするとより植物がたくさん水を吸い上げて
元気になる方法があります。
今日はそういった花屋による植物の水揚げ方法をご紹介したいと思います。
*そもそも水揚げとは・・・・
植物は根がついた状態だと根圧によって水を上に運び葉の蒸散や花の細胞膨張により
水を吸い上げます。しかし、切り花になると根圧がなくなるので、水を吸い上げる力が弱まります。
一度水がきちんと葉や花に届けばその後は自力で吸い上げるのですが、もし、水をもらえない状態が続くと
水を吸い上げる力が著しく弱まります。
植物によってその時間は異なりますが、長い時間茎を乾燥させると維管束内に空気が入り水を吸い上げにくくなります。
根から切り離された花を出来るだけ早く水を吸い上げられる状態にすることが「水揚げ」作業です。
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*花の種類による水揚げ方法
・水切り
・湯あげ
・叩く
・綿を取り除く
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・水切り
基本的な水揚げ方法です。
茎を斜めに切り戻し、素早く水につける方法です。
深いバケツの中で切り戻すとさらによく、水圧を利用すれば茎の中に
入り込んでいる空気が抜ける可能性も高くなります。
茎の切り口を鋭角にすると断面が広くなるのでたくさん水が吸えます。
また水温も大切です。
あまり冷たすぎる水だと低温障害を起こします。
ビューティフルボーイでは冬場は少しお湯も入れて冷たすぎないように工夫しています。
冬場は特に注意が必要です。
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・湯揚げ
湯揚げ方法は水切りだけでは水が揚がりにくい花に使います。
花を新聞紙などで保護したのち、沸騰した湯の中に茎の切り口を10秒程度つけます。
これには切り口のバクテリアを死滅させること、茎の中に入った空気を取り除く効果があります。
長くお湯につけすぎても湯を吸ってしまうので、長すぎず、短すぎずがポイントです。
お湯から引き揚げたらすぐに水につけて下さい。
2時間ほど新聞紙を巻いたままの状態にしておくと、しっかり花まで水が揚がります。
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・叩く
茎が堅く水あがりの悪い花に向きます。
当店では主に枝ものに使う手法で、こでまり、鉄線、雪柳などに使います。
堅い茎の切り口をかなづちなどでたたいて、茎を砕いて水の吸い上げを良くします。
お店ではたたいた後にさらに湯揚げすることがほとんどです。
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・綿を取り除く
この方法はあじさい、ライラック、ビバーナムなど枝ものに向く方法です。
茎を切ると茎の中に白い綿のようなものがある枝ものがあります。
その白い綿部分をハサミの先やナイフで取り除き、導管をむき出しにする方法です。
これにより水の浸透を早めるとともにバクテリアを付着しにくくします。
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*まとめ
色々と水揚げ方法をご紹介してきましたが、
必ずこの花にはこの方法という決まりはありません。
花屋さんによって方法も異なります。
それぞれが今までの経験や先輩のアドバイスに基づいて良いと思う方法を
やっていますので、参考になればと思います。
またハードルが高いなと思う水揚げ方法もあったかもしれませんが、
すこしでも命ある切り花を長く美しく咲いてくれればと思うやり方ですので、
皆さんが出来る範囲で工夫していただければと思います。
いずれにしても花には茎があります。
そして花はその茎の一番先端についていることが多いです。
そうすると茎は長いより、短いほうが花まで水を吸い上げる距離は短いので、
そのほうが吸い上げる力は上がるのは確実です。
すごく萎れたり花がくったりした場合は、思い切って茎を短く切り詰めて
花までの茎の距離を短くする方法もおススメです。
花を活ける花瓶を清潔にすることも大切です。
バクテリアが大量に発生するとバクテリアによって導管がふさがれ花は水を吸い上げることができなくなります。
出来るだけ水をきれいに保つことが大切です。
また人間と同じように置かれている場所も暑すぎても寒すぎてもダメ。
どちらかというと寒いほうが良いですが、とにかく自分と同じように
考えて花を扱えば難しくありません。
花瓶の水が汚れたと思えば新鮮なものに替えてあげて、茎の切り口を
切り戻せばまた吸い上げる力が強くなります。
ぜひ愛情をもって花に接して様子を見てあげて下さいね。
また水揚げ促進剤や延命剤、蒸散防止スプレーなど科学的な部分でも近年は特に進歩しています。
当店ではそういった品質保持剤をすべて駆使して水揚げ作業を行っています。
ご紹介したような市販の品質保持剤を積極的に使うと花保ちが良くなります。
当店でも販売していますので、気になるものがありましたらご相談ください。
*「水揚げ&花のケア」薄木 健友著 :誠文堂新光社
の本を参考にさせていただきました。 花の水揚げについて詳しく書かれていますので、ご興味ある方はぜひ参考になさって下さい。