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お花を選ぶとき、皆さんはどんなふうに決めていますか?
色や形、香り、季節感――いろいろな要素がありますが、
最初に目に入った瞬間の**“第一印象”**が、とても大きな役割を持っています。
店頭や市場で花を見ていると良く感じます。
たとえば、何本か並んだバラの中で、ある1本だけにふと目が留まる。
それは少し茎が長かったり、花びらの開き加減が絶妙だったり、
理由ははっきりしなくても、なんだかその花に“呼ばれた”ような気持ちになるのです。
実際、お客様もよくこんなふうにおっしゃいます。
「どうしてかわからないけど、この子に惹かれました」
「こっちの色の方が元気をくれそうだから」
同じ品種でも、茎の伸び方や色合いはひとつひとつ違い、
花には不思議な個性があります。
第一印象で選んだお花は、その人の気持ちやその日の空気と
ぴたりと合っていることが多く、
アレンジしたときにも生き生きと見えるから面白いものです。
もちろん、長持ちさせるコツや組み合わせのバランスは、
プロとして私たちがしっかりお手伝いします。
でもたくさんある花の中から感じた最初の
“ときめき”は大切にしていただきたいと思います。
それが、お花を選ぶ楽しさの原点だからです。
店頭でもお客さまが選ぶ花を見つめる姿を見ていると
私たちも幸せな気持ちにしてくれます。
秋は特に、花の色合いや質感に深みが出て、第一印象がより鮮やかに心に響く季節です。
ぜひ、店頭でたくさんの花と目を合わせてみてください。
最初にあなたに微笑みかけてくれた花を、おうちに連れて帰る――そんな花選びも素敵。
それは日によって、また季節によってさまざまですが、
その日のあなたを映し出す鏡のようなものかもしれませんね。