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お花のご注文では、誕生日や開店祝い、周年のお祝い、退職のお花など、
いろいろなご用途をいただきます。
けれど実感として、いちばん多いのは「お悔やみ」の花です。
店を始めたころは、親族やご友人へのお悔やみのご注文が中心でしたが、
ここ十数年は、長く一緒に過ごしたワンちゃんやネコちゃんへのお花も
本当に多くなりました。
ネットからのご注文では、
「こんな性格の子だった」「この花が似合うと思う」
――そんなメッセージを添えてくださる方がたくさんいらっしゃいます。
そこには、亡くなられた方(あるいはペット)への深い想いが込められていて、
読みながら胸が締め付けられるような想いになることもしばしばです。
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特に、まだ若くして亡くなられた方やお子さんへのご注文のときは、
ご家族の想いを想像するだけで、言葉が出なくなることがあります。
私たちは、「このお花が少しでも心を癒してくれますように」と
祈るような気持ちでアレンジをしています。
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アレンジを作成、発送し、
ご依頼くださった方とお届け先の方、
そのどちらからも「ありがとう」と言っていただける――
この瞬間こそが、やはり花屋の一番の喜びです。
でも、正直なことを言えば、
毎日が感動の連続というわけではありません。
花が思うように揃わなかったり、時間に追われたり、
体力的にもきついと感じる日も多々あります。
それでも不思議と「やめよう」とは思いません。
花を通して、人の想いに触れられる仕事だから。
花がつなぐ“人と人の温かさ”を感じる瞬間がある限り、
この仕事はやっぱりやめられないと思います。
お店を始めたころは、自分が幸せになることだけで頭がいっぱいでした。
でも今は、お客さまや生徒さんが笑顔になってくれることが、
自分の幸せそのものになっています。
私も成長しました(笑)。
これからも、花を通して誰かの心に寄り添えるような仕事を
続けていけたらと思います。
