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12月の花屋は、少し不思議な場所になります。
忙しいのに、どこか静か。
慌ただしいのに、言葉はやわらかい。
この時期になると、
毎年のように耳にする言葉があります。
今日は、花屋でよく聞く「12月の言葉」を
私なりのベスト5として並べてみたいと思います。
第5位
「寒くなったわね」
これが聞こえ始めると、
ああ、12月だなと思います。
花を選びながら、
コートの襟を少し立てて、
そう言われる方が増えてきます。
花屋は寒いでしょう、と
気遣ってくださる方も多くて、
その一言だけで心があたたかくなります。
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第4位
「この花、長持ちする?」
冬は、実は花にとって良い季節。
そうお伝えすると、
少し驚かれることもあります。
寒いことで植物の成長がゆっくりになっています。
年末は忙しいから、
できるだけ手がかからず、
長く楽しめるものを選びたい。
そんな気持ちが、この一言に詰まっています。
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第3位
「クリスマスが終わったら、すぐお正月ね」
この言葉が出ると、
店の空気が一段、年末に近づきます。
リースを見ながら、
お正月飾りの話に移っていく。
日本の12月は、
季節をまたいで気持ちが行ったり来たりする
少し忙しい月。
それに合わせて花屋はあわただしい季節です。
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第2位
「今年も早いわね」
毎年、必ず聞きます。
何度聞いても、
やっぱりその通りだなと頷いてしまう言葉。
一年を振り返るには短くて、
でも確かに、何かが積み重なった一年。
花を選びながら、
ぽつりとこぼれるこの言葉に、
その方の一年がにじんでいる気がします。
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第1位
「今年もありがとう」
この言葉を聞くと、
少し胸の奥が熱くなります。
花を買ってくださること自体がありがたいのに、
こうして言葉にしてくださる。
一年の締めくくりに、
花屋として立ち会わせてもらっているのだと
実感する瞬間です。
12月の花屋は、
売り場というより、
一年の途中下車のような場所なのかもしれません。
花を選びながら、
少し立ち止まって、
今年を振り返る。
そんな時間のお手伝いができたら、
花屋としてこれ以上のことはありません。
今年も残りわずか。
年末31日まで営業致しますので、ぜひお正月の花を
選びにいらして下さいね。
