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花屋をしていると、毎日の天気や気温が
いかにお花の表情に影響を与えるかを、日々実感します。


カレンダーで季節を知るより、花の色づきや持ちの良さで
「季節が変わったなあ」と感じることがよくあります。

たとえば、秋の花として人気のダリア
夏の暑い盛りに出荷されるダリアは、色が少し淡く、やわらかい印象です。
ところが秋が深まり、朝晩の気温がぐっと下がってくると、
花びらの赤やボルドーがまるでベルベットのように濃くなり、
引き締まった色合いになります。
植物は気温が下がると呼吸がゆっくりになり、
色素がゆっくりと蓄えられるためだそうです。
秋晴れの空気の中で咲くダリアは、まさに“秋色”そのものです。

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また、涼しいだけでなく湿度も大切です。
バラは湿度が高いと花びらの傷みが早く、持ちも短くなりがちですが、
空気が乾いてくる秋には花首がしっかりして、日持ちもよくなります。
「秋のバラが美しい」と言われるのは、そうした環境の変化のおかげなのです。

天気や気温の変化は、市場に並ぶ花の顔ぶれにも反映されます。
お彼岸を過ぎたあたりからは、夏の名残のひまわりやトルコキキョウが少なくなり、
スプレーマムやリンドウ、実ものなど、秋らしい花たちが前面に出てきます。
朝の仕入れで「今日はこんなに色が深い!」とダリアを見つけると、
気温が下がったことを肌で感じるより先に“秋の深まり”を知るのです。

花と天気の関係はとても正直で、どちらも自然のリズムに従っています。
だからこそ、花屋の仕事は季節とともにあり、
毎年同じようでいて少しずつ違う風景に出会えます。

これからの季節は、夜の冷え込みが増すほどに、
花たちの色が美しく冴えていきます。
標高の高いところで栽培されている花は特に色づきが良くなる印象です。
ただ暑い日が多かった今年は通常の年よりやや遅れ気味ですが・・・


ぜひお部屋にも、秋色の花を飾って、
外の空気とともに変わりゆく季節を感じてみてくださいね。

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