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先日、岡山に住む姉がお店まで訪ねてきてくれました。
「東京まで行くから、お昼でも一緒に食べよう」
と声をかけてもらい、久しぶりの再会です。
お正月以来だったので、お互いの近況報告に花が咲き、
笑いの絶えない時間になりました。
東京に来た目的を聞いてみると、上野で開催中の「正倉院展」を見に来たとのこと。
「奈良の方が近いじゃない」と言うと、
「奈良は抽選に外れちゃって」との返事(笑)。
東京会場では本物の展示はないものの、
宝物を3Dデジタル化した映像や、精巧に再現された模造品が見られたそうです。
中でも印象に残ったのは、有名な香木
「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りを再現展示していたこと。
長さ156cm、重さ11.6kgという見事な香木で、正式名称は「黄熟香(おうじゅくこう)」。
織田信長が切り取った跡が残っていることでも知られています。
蘭奢待はジンチョウゲ科の樹木に樹脂が沈着してできたもので、
その中でも最高峰と言われているそうです。
香木は木が倒れたり、病気になったりして傷ついた部分に、
樹脂が分泌・沈着し、長年の歳月を経て固まったものです。
最新の科学調査で再現されたその香りは、
姉いわく「甘くて上品な香り」だったようです。
その後は赤坂の迎賓館の見学もしてきたとのこと。
少し前には東北へ温泉旅行にも出かけていたようで、
元気にあちこち動き回っている様子に、妹としてもひと安心です(笑)。
年齢を重ね、両親を見送った今、
兄弟姉妹の存在がますます大切に感じられるようになりました。
両親が残してくれた“兄弟という絆”は、
何よりの宝物だなあとしみじみ思うこの頃です。
話を聞きながら、心のどこかがじんわりと温かくなりました。
香りには、人の記憶や想いをそっと呼び覚ます力があります。
それは花の香りも同じ。
一輪の花の香りがふと懐かしい時間を思い出させてくれるように、
家族や大切な人との思い出も、
いつまでも心の奥で優しく香り続けてくれる気がします。
