今日ご紹介する季節の花はシャリンバイ。
冬のアレンジに欠かせない“黒い宝石”。
.
今日は、冬の花材としてひそかに大活躍する「シャリンバイ」をご紹介します。
この時期、市場にはつやつやと光る黒い実をつけたシャリンバイが多く出回り、
クリスマス・お正月アレンジのどちらにも使える、実はとても頼りになる存在です。
深い黒色は、赤い実や針葉樹の緑と合わせると全体をきりっと引き締めてくれます。
派手さはないのに、置いてあるだけで大人っぽい雰囲気になる…そんな“名脇役”といえる花材です。
*「シャリンバイ」という名前の由来
シャリンバイは、漢字で「車輪梅」と書きます。
名前の由来には諸説ありますが、よく知られているのは
“車輪のように葉が輪生して付く姿が、梅のような花姿と合わさった”という説。
確かに、初夏に咲く白い花は小さな梅の花に似ています。そこへ冬は黒い実…
四季を通して表情を変え、季節ごとに違う魅力を見せてくれる植物です。
* 実は意外な“身近な存在”
「シャリンバイ」と聞くと、花屋の花材というイメージですが、
実は街中にもたくさん植えられているのをご存じでしょうか。
公園の植え込み、海辺の防風林、学校の周りの生垣…。
ちょっとした散歩の途中、「あれ?これシャリンバイじゃない?」と思うこともしばしば。
風に強く、乾燥にも耐え、常緑で一年中青々しているため、
公共施設や道路沿いの植栽にもよく使われています。
まさに“暮らしの中の植物”なんですね。
* 大島紬を染める黒い実
そしてシャリンバイといえば、もうひとつ有名なのが 「大島紬の染料」 に使われること。
黒い実を煮出した汁は、深みのある色を出す天然染料になります。
奄美地方では古くから利用され、渋くて奥行きのある黒色の着物は、この植物が育んだ自然の色。
なんとなく「シャリンバイの黒」は特別だなぁと感じるのは、
こうした文化が今も受け継がれているからかもしれません。
* 花材としての魅力
アレンジに使うときは、
・黒い実が全体を引き締める
・落ち着いた色合いで和洋どちらの雰囲気にも合う
・長持ちし、最後まで美しく使える
・ドライ花材としても使える
という三拍子そろった優秀さ。
クリスマスアレンジにも、お正月飾りにもすっと馴染む万能選手です。
「強い存在感ではないのに、そこにあると作品の格が上がる」
そんな、不思議な存在感を持っています。
*まとめ
季節のアレンジを作ると、つい主役に目が行きがちですが、
実はこうした“静かな名脇役”が作品の雰囲気を決めてくれることがよくあります。
今年の冬は、ぜひ一度、シャリンバイを手に取ってみてください。
黒い実がアレンジ全体に奥行きを与え、冬ならではの凛とした空気を運んでくれます。
