昨日フラワーデザインの本を読んでいて面白い記事がありましので、
ご紹介したいと思います。
これは日本の花文化についての一説ですが、ご紹介致します。
近世の三都(京・江戸・大阪)の市民生活に欠かせない朝顔市やほおづき市は
季節の風物詩として今日もその名残を留めています。人々は長屋の軒下に
朝顔や鉢植えを置いて楽しみ、松場牡丹や万年青、菊など(趣味の園芸)が広がって
おびただしい品種、珍種を作りだし、品評会や競技会が各地で行われました。
幕末に入国した欧米のプラントハンターたちが、大名、富豪から
庶民に及ぶ「花狂い」に驚いたのは有名な話です。
その一人、英国人フォーチュンは後年、次のように回想しています。
「馬で郊外のこじんまりとした農家などの傍らを通り過ぎると、
家の前に日本人好みの草花を少しばかり植えこんだ小庭を作っている。
日本人の国民性の著しい特色は下層階級でもみな生来の花好きであると
いうことだ。・・・もしも花を愛する国民性が人間の文化生活の高さを
証明するものとすれば、日本の低い層の人々はイギリスの同じ階層の
人たちと比べるとずっと勝って見える」
彼はまた江戸近郊における切り花や庭木の生産農家の存在とそれが
1マイル以上も点在している様を見て「私は世界のどこへ行っても
こんなに大規模に売り物(鑑賞)植物を栽培しているところを
見たことはない。」と述べています。
世界史的に見て、古くから日本が中国と並んで世界のガーデニングセンター
(園芸文化の中心地)であったことが分かります。
*JFTD学園フラワーデザインテキストより抜粋
いかがでしたか。
日本人が古くから花を愛する文化を持っていたことがよく分かる文章ですよね。
四季がある日本では季節季節に咲く花々が違い、花を愛でる時季により
その人それぞれが持つ思い出につながります。
花と共に生き、花だけではなく成長する姿、散りゆくさま、
そのどの部分をもいとおしく感じられる日本人の感性は私たちの文化として
誇りを持つ部分だなあとつくづく思いました。