今日ご紹介する季節の花は「ぜんまい」。
食べるほうではなく、飾ることのできる植物としての「ぜんまい」です。(笑)
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ぜんまいはシダ植物の一種。
まだ葉が開ききる前の、くるりと巻いた若芽の姿を楽しみます。
この「巻き」がほどけていく様子は、まるで春が少しずつ目を覚ましていくようです。
市場に出荷されるゼンマイはもう根っこもついていないので、
巻いているところがほどけて葉っぱを広げるという風にはなりませんが、
芽吹きを表現した姿がかわいらしい植物です。
生け花の世界では、ぜんまいは春の訪れを告げる代表的な花材です。
山野の湿った場所に自生し、雪解けのころに顔を出します。
花のような華やかさはありませんが、
その静かな生命感はほかの植物にはない魅力があります。
市場で見かけるのは主に
・ぜんまい
・姫ぜんまい
この二種類です。
一般的な「ぜんまい」は茎がやや太く、しっかりとした存在感があります。
巻きも力強く、一本入るだけで空間がぐっと引き締まります。
男性的、と表現されることもあります。
一方「姫ぜんまい」はその名の通り、やや細身で繊細。
茎がすらりとしていて、動きも軽やか。
柔らかい印象です。
どちらも共通しているのは、
“これから伸びていく途中”という姿であること。
完成された美しさではなく、成長の途中にある美しさのように感じられます。
アレンジに取り入れるときは、巻きの向きを意識して流れをつくるのがポイント。
まっすぐ立てても良いですし、少し傾けるだけで動きが生まれます。
花ではないのに、花以上に“春らしさ”を感じさせる存在で、少し取り入れるだけで
優しさにあふれた雰囲気となります。
ぜんまいは、声高に春を叫ぶのではなく、
静かに「もうすぐですよ」と教えてくれる植物です。
店頭で見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。
くるりと巻いたその先に、
小さな春の予感が宿っています。
