花屋を始めて、31年が経ちました。
振り返ると、あっという間だったような、
ずいぶん長い道のりだったような、不思議な感覚です。

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若い頃は、「やらなくていいこと」なんて、ひとつも考えたことがありませんでした。
できることは全部やる。
やれるうちは、頑張る。
それが当たり前で、それ以外の選択肢は思いつきませんでした。
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市場にも何度も通い、お店はできるだけ長く開け、頼まれたことは断らず、
忙しいほど「ちゃんと花屋をやっている」と思っていた気がします。
でも最近、ふと感じることがあります。
「あ、これはもう、やらなくてもいいかもしれないな」と。
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たとえば、
無理をしてまで仕入れに行くこと。
何となく開けているだけの時間。
気を張り続けていないといけない働き方。
やらなくてもいい、というよりやらなくても、
花屋は続けられるそう思えるようになってきました。
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それは、怠けたいからでも、諦めたからでもありません。
むしろその逆で、
「何を大切にして、これからも続けたいか」が
少しずつはっきりしてきたからだと思います。
今の私は、花を選び、デザインし、
誰かと一緒に花を作る時間が、いちばん好きです。
レッスンで、
「今日ここに来てよかった」と言ってもらえたとき。
花を抱えて帰るお客様の背中を見送るとき。
その瞬間のために、この仕事を続けてきたのだと感じます。
全部をやらなくてもいい。
若い頃と同じように動けなくなったとしても、
花屋としての価値まで減るわけではない。
31年やってきて、
ようやくそう思えるようになりました。
これからは、
やらなくていいことを少しずつ手放しながら、
やりたいこと、大切にしたいことを、丁寧に続けていこうと思います。
花のある生活が、
誰かの気持ちをやわらかくしてくれるように。
そして、自分自身の心にも、余白を残せるように。
皆さんは最近、「もう無理しなくていいかな」と思えたこと、ありますか。
今度お会いした時に教えて下さいね!
