1995年に東林間にビューティフルボーイをオープンして数えればもう26年目。
日々、一日一日が一生懸命で時間の経過を感じませんが、過ぎ去ってから考え振り返るとあっという間です。
この間、たくさんの花との出会い、人との出会いがありました。
中でも忘れられない出会いは佐藤さんとの出会い。
佐藤さんはオープン当初からのお客様です。
年齢は私の母ぐらいで、当時は成人された娘さん2人にお孫さん一人を持つ関西出身の方でした。
華やかなバラよりも野に咲く野草がお好き。
中でもお好きだったのがかすみ草によく似たかわいらしい花、サポナリア。
花にも造詣が深くアメリカ人の絵本作家ターシャ・テューダーの世界がお好きでした。
購入されたターシャの本を貸してくださったり、ご主人が山で撮影した野草の写真を下さったり。
楽しい思い出は尽きません。
そして中でもよく覚えているのはお悔やみのお花を差し上げるときのこと。
「私は白い花だけを差し上げるのは淋しくていやなの。
残されたご家族が元気になってほしいから明るい色の花を入れてね!」
といつもおっしゃっていたこと。
まだ若かった私は「お悔やみ=白い花」のイメージが強かったのですが、
そうか、悲しみの中で亡き人を想うということもあるけれど、残された人のことを
一番に考えてあげたいという思いも大切なんだなあ
と気付かされたことも忘れられません。
亡くなった方のことを偲ぶ
亡くなった方のご遺族のことを想う
どちらも大切。
そして花に託す思いは人それぞれなんだと知った出来事でもあります。
おおらかで優しく心の広さを教えてくれた佐藤さん。
差し上げる花をご注文下さるときに必ず
「あなたの好きなように作ってね、楽しんでね。」
と言葉をかけてくださったことは花屋冥利に尽きる言葉でもありました。
亡くなられてもう数年経ちましたが、佐藤さんとの出会いとかけて下さった
言葉は私の一生の宝物になりました。